クレアチニン値や eGFR を改善し、慢性腎臓病の進行を抑制できる可能性のある米国特許成分をご存じですか?

私たち医薬工房合同会社は、米国特許成分AB070597(特許番号:US 9669010 B2)に着目しています。

AB070597 (米国特許番号:US 9669010 B2)は、腎臓病に特化して研究開発され、7種類のアミノ酸・ジペプチドを最適な組成で組み合わせた新しい成分です。

グリシン、グルタミン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、L カルノシン

AB070597 は、米国で行われた臨床試験の結果が「(CKD:慢性腎臓病に対して)明らかに好ましい結果を生み出した」として米国学術誌に掲載されました。( 原文はこちら

2020年、米国学術雑誌「Journal of Current Medical Research and Opinion(CMRO)」に掲載された上記の論文では、次のように考察されています。

(和訳)AB070597は明らかに好ましい結果を生み出した。慢性腎臓病4人と腎不全1人の被験者において進行に有益な効果をもたらした可能性があることを示している。

当臨床試験では、慢性腎臓病と診断された5名の患者にAB070597を摂取してもらい、前後でのクレアチニン値やeGFRを比較したものです。下のグラフのように、AB070597の摂取を開始してから、5名全員eGFRが改善傾向に向かいました。

この臨床試験はたった5名の慢性腎臓病患者での試験結果であり、エビデンスとして十分とは言えませんが、AB070597の慢性腎臓病への効果を期待できる内容です。

動物医療で先行したAB070597の活用

実は、A070597を含むサプリメントは日本国内において、動物医療で先行して広まっています。猫においては以下のように大規模な臨床試験で、進行抑制効果が確かめられています。( 原文はこちら

こちらの臨床研究では、AB070597を含むサプリメントを慢性腎臓病の猫に投与し、投与後3か月で血清クレアチニン値の減少、その後2年間のクレアチニン値の維持が確認されています。

臨床研究が先行した動物医療の世界ではAB070597の有効性が獣医師の間で広く知られるようになり、日本国内においても多くの動物病院で、AB070597を含むサプリメントが推奨されています。

国内医学アドバイザー

AB070597は、日本においても、谷田部淳一医師監修下で臨床研究を進めています。谷田部医師は、米国バージニア大学Medical Automation Research Centerで人の腎病理学と食塩感受性高血圧について研究を行っていた腎臓の専門家です。

谷田部 淳一 先生(医師)

谷田部 淳一 先生(医師)

一般社団法人テレメディーズ 代表理事

福島県立医科大学 腎臓高血圧内科 研究員

福島県立医科大学薬理学講座助教、腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科学講座助教、同慢性腎臓病(CKD)病態治療学講座助教、東京女子医科大学高血圧・内分泌内科助教等を歴任

腎機能の健康管理のためアミノ酸を補填する事は非常に理にかなっています。AB070597は、腎臓病に特化して研究開発された最適な組成のアミノ酸混合物という事ですが、米国ではすでにヒトへの応用でも有益性を示唆するデータがあり、非常に期待できる内容です。
福地 可奈 先生(獣医師)

福地 可奈 先生(獣医師)

酪農学園大学獣医学部卒業後、都内動物病院に4年間勤務。

現在は東邦大学微生物・感染症学研究室にて感染症を専門領域として研究を行なっている。

慢性腎臓病にアミノ酸が有効であることはこれまでにも知られていましたが、AB070597は腎臓を保護するための最適な組成になっています。AB070597に含まれるそれぞれのアミノ酸・ジペプチドが腎臓に作用し、腎機能を維持します。既に日本国内においても多くの犬猫に用いられ、成果をあげていますが、作用機序としては人にも有効であるはずで、既に臨床試験データが出始めています。

AB070597が腎臓病の進行抑制に役立つ理由

慢性腎臓病においては、タンパク質の制限が推奨されます。慢性腎臓病と診断された方は、タンパク制限に取り組んでおられる方もいらっしゃると思います。

ところが、タンパク質の制限には以下の様な課題が指摘されています。

CKD患者でタンパク質制限を実施する場合には、糖質や脂質の摂取が不十分で必要エネルギーに達しないとタンパク質利用効率が低下する(3,4)。つまり、効率の良いタンパク質代謝を維持する為には、エネルギーの確保に十分に注意することが重要である。とくに、エネルギー不足は、タンパク質利用効率を低下させ、エネルギー摂取が増加すると窒素出納は改善される(1)。また高齢者では、エネルギー不足により、サルコペニアやフレイルの発症、動脈硬化の進展、骨塩量低下などのリスクがある。また、腎臓病患者にともなう低栄養は「protein-energy wasting (PEW)」と呼ばれる(15)。とくに厳格なタンパク質制限では、この問題が重要となる。( 引用:腎臓病診療の最先端 Vol.31 より )

すなわち、慢性腎臓病の管理においてはタンパクを制限すると同時に、エネルギー摂取が重要です。

AB070597の役割の一つは、ここにあります。タンパク制限で不足しがちなエネルギーを良質のアミノ酸で補給し、エネルギーを確保し、体重を維持します。

AB070597が腎臓病の進行抑制に有効なその他の理由

エネルギーの確保、体重の維持以外にも、AB070597は様々な作用で、慢性腎臓病の管理に有効とされています。

筋肉組織の異化で失われたアミノ酸を供給
体内のタンパク質不足によって、タンパク質(筋肉)がエネルギーとして使われてしまう「異化」が引き起こされてしまいます。その過程で、老廃物である「アンモニア」が生産されます。アンモニアの解毒にアミノ酸摂取が必要なります。
解毒に必要なアミノ酸を供給
タンパク質を過剰に摂取、または制限されている場合、体に老廃物としてアンモニアが蓄積され、尿毒症の原因になることがあります。
グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸これら4つのアミノ酸を補う事で、アンモニアを解毒することができます。
BMP-7が血中リン酸濃度を低下
リンは生命維持に欠かせないミネラルの一種です。
通常、血液中のリンの濃度は腎臓の調節機能によって一定に保たれますが、腎機能が低下すると、リンが尿中に排泄されず、血液中に蓄積して「高リン血症」になります。
Lカルノシンは、高リン血症になるのを防ぎます
糖新生を通じて血中リン酸濃度を低下
また、グリシンやアスパラギン酸、グルタミン酸は糖原性アミノ酸でもあるので、生化学的な修飾や代謝を受けてグルコースになります。グルコースに反応してインスリン が分泌され、インスリン の作用を受けると細胞はグルコースを細胞内に取り込みますが同時にリンやカリウムなども細胞内に取り込まれます。この糖新生により副甲状腺機能亢進症の原因となるリンの血漿濃度を下げることができます。
虚血の低酸素による腎尿細管細胞傷害を予防
腎臓病はGFR(推算糸球体濾過量)を低下させます。これにより、人血流量が低くなると同時に、酸素を運ぶ赤血球が少なくなり、結果的に腎尿細管細胞に傷害を与えます。
グリシンを取ることによって、腎機能を保つことができます。
ヒドロキシルラカルや一重項酸素の効率的なスカベンジャーでLDLコレステロールを酸化から守ることができる
活性酸素は腎だけでなく、肌や様々な臓器の老化に関与しているといわれています。
AB070597に含まれているLアスパラギン酸、Lグルタミン酸とヒスチジン活性酸素を除去します。
一酸化窒素による血管調節機能の回復
一酸化窒素は正常な腎機能の維持に必要不可欠ですが、腎機能が低下すると一酸化窒素の合成を阻害してしまいます。AB070597に含まれるL-アルギニンはこの一酸化窒素を作り出す原料となり、血管調節機能の回復を助けます。

AB070597を含むサプリメント

AB070597は、人においても犬猫においても、慢性腎臓病の進行を抑制し、透析に至るまでの期間を長引かせる効果が期待できます。

慢性腎臓病は日本人の新たな国民病として大きな課題となっています。進行すると人工透析や腎移植がといった身体的負担が大きな疾患で、年間数百万円の医療費が必要となり総額は2兆円におよびます。また、猫は腎臓が弱い動物で慢性腎臓病(CKD)が死亡原因の1位(33.3%)と報告されています。

日本においても、AB070597を含むサプリメント(人用および犬猫用)が発売されました。AB070597を含むサプリメントが広まり、多くの人、動物の健康やQOLの向上に繋がる事を期待しています。

より詳しくお知りになりたい方や、どのようなサプリメントがあるか気になる方は、「AB070597」で検索する等、ご自分でさらにお調べいただくのもよいのではないでしょうか。

医学工房合同会社

参考文献

  1. 腎臓病患者で筋肉の萎縮が起きる機序を解明(2016)‐体内に蓄積する毒性物質が筋肉の代謝変化を引き起こす ‐ http://www.pharm.tohoku.ac.jp/info/file/20161111.pdf より引用
  2. 食事中タンパク質制限の実践と問題点 徳島大学大学院医歯薬学研究部 宮本 賢一 腎臓病診療の最先端 vol.31
  3. 日本腎臓学会編、慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版
  4. Effect of Renoprotective Amino Acids and a Dipeptide on Disease Progression, Nutritional Status, and Blood-Serum Phosphate Concentration in Cats with Chronic Kidney Disease (2015), James D. Archer , Research Journal for Veterinary Practitioners , Volume 7 Issue 2 Page 52
  5. Tsai CW, Ting IW, Yeh HC, Kuo CC. Longitudinal change in estimated GFR among CKD patients: A 10-year follow-up study of an integrated kidney disease care program in Taiwan. PLoS One 2017; 12(4):e0173843.
  6. CKDと栄養 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009 https://jsn.or.jp/ckd/pdf/CKD04.pdf より引用
  7. Feiten SF, Draibe SA, Watanabe R, Duenhas MR, Baxmann AC, Ner- bass FB, Cuppari L. Short-term effects of a very-low-protein diet supplemented with ketoacids in nondialyzed chronic kidney disease patients.EurJClinNutr2005;59:129-136.
  8. Arai S, Kitada K, Yamazaki T et al(2016): Apoptosis inhibitor of macrophage protein enhances intraluminal debris clearance and ameliorats acute kidney injury in mice. Nat Med,22(2):183-193
  9. Sugisawa R, Hiramoto E, Matsuoka S et al (2016): Impact of feline AIM on the susceptibility of cats to renal deisease. Sci Rep., 6:35251.
  10. http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20161012.pdf より引用 伴侶動物の臨床病理学 第3版 2019, 石田卓夫
    日本腎臓学会編CKD診療ガイド2012
  11. Yin M, Zhong et al (2002).Protective effect of glycine on renal injury induced by ischemia-reperfusion in vivo. Am. J. Physiol. Renal. Physiol. 282(3):F417-423.
  12. Watanabe M, (2008). Consequences of low plasma histidine in chronic kidney disease patients: associations with inflammation, oxidative stress, and mortality. Am. J. Clin. Nutr. 87(6):1860-1866.
  13. Gravesen E, et al (2018). Exogenous BMP7 in aortae of rats with chronic uremia ameliorates expression of profibrotic genes, but does not reverse established vascular calcification. PloS One. 13(1): e0190820. https://doi.org/10.1371/journal. pone.0190820
  14. 斉藤昌之,鈴木嘉彦,横田博『獣医生化学』,朝倉書店
  15. Effect of Renoprotective Amino Acids and a Dipeptide on Disease Progression, Nutritional Status, and Blood-Serum Phosphate Concentration in Cats with Chronic Kidney Disease, James D. archer, Research Journal for Veterinary Practitioners , June 2019 , 2 ,39-52
  16. 食事中タンパク質制限の実践と問題点 徳島大学大学院医歯薬学研究部 宮本 賢一 腎臓病診療の最先端vol.31 https://www.jinzou.net/01/pro/sentan/vol_31/ch02.html
  17. 慢性腎不全の病態生理と必須アミノ酸療法 , 浦壁重治 ,人工透析研究会会誌 8巻1号 1975