自閉症の症状を改善する乳酸菌・ビフィズス菌配合物「デシモーネ配合」をご存じですか?

近年、自閉症と腸内細菌叢の関係が注目されつつあります。

実際、自閉症の当事者の方には腹痛、下痢、便秘、鼓腸、嘔吐などの消化器症状が見られることが多くの研究で示されています。そして、これらの消化器症状は自閉症の重症度と関連することが観察されています。

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自閉症当事者の腸内細菌叢は、健常者と比較して、ビフィドバクテリアとファーミキューテスの濃度が低下し、バクテロイデスとクロストリジウムが増加することが分かっています。そして、自閉症の子どもの約36.7% で腸管透過性の亢進が観察されており、腸からの抗原物質の移行が課題となっています。腸管透過性が上昇すると、腸からの抗原物質の移行を促進してしまいます。

例えば、Emanuele氏らは、自閉症患者の血中リポポリサッカライド(LPS)が健常者と比較して増加していることを明らかにしており、これらの抗原物質は、血液脳関門を通過して脳の内皮細胞に結合することができる炎症性サイトカイン(IL1β、IL-6、IFNy、TNFαなど)の産生を刺激し、炎症反応を誘発することを示しています。

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以上より、腸内細菌叢の調節が自閉症スペクトラムの治療に有用である可能性が示唆され、プロバイオティクス(主に乳酸菌、ビフィズス菌)を自閉症の当事者に投与する臨床研究が多く行われてきています。

特に、欧州でDe Simone博士によって長年研究開発されてきた、「デシモーネ配合」と呼ばれる善玉菌の配合物の摂取により消化管障害や行動障害が改善することが実証されています。

「デシモーネ配合」の特長と臨床研究

「デシモーネ配合」は、8種類の細菌株からなる微生物混合物で、以下の細菌株を1袋あたり4500億個含んでいます。

Streptococcus thermophilus DSM24731
Bifidobacterium breve DSM24732
Bifidobacterium longum DSM24736
Bifidobacterium infantis DSM24737
Lactobacillus acidophilus DSM24735
Lactobacillus plantarum DSM24730
Lactobacillus paracasei DSM24733
Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus DSM24734

現在、販売されている他のプロバイオティクス製品と比較して、菌の量が非常に多いのが特長です。この「デシモーネ配合」には幅広い化学的文献があり、国際ジャーナルに200以上の論文が掲載されています。「デシモーネ配合」は、これらの論文を通じて自閉症者にも有効であることが分かっています。( 原文はこちら

こちらの臨床試験では、自閉症の就学前児童85名を無作為にプロバイオティクス(「デシモーネ配合」)42名、プラセボ43名に分け、6か月間使用しました。

試験に参加した自閉症児童のうち、胃腸症状がなかった55名においては、自閉症の症状の評価指標であるADOSスコアが、プラセボ群に比べ「デシモーネ配合」を摂取した群で有意に改善しました。胃腸症状があった30名においては、プラセボ群に比べ「デシモーネ配合」を摂取した群でGI症状、適応機能に大きな改善が認められました。( 原文はこちら

この論文では、自閉症と診断され、重度の認知障害とセリアック病を有する男児において、4ヶ月間の「デシモーネ配合」摂取後に自閉症症状の指標であるADOS-2で効果の評価がなされ、自閉症の中核症状の改善が観測されました。

「デシモーネ配合」を含むプロバイオティクスサプリメント

これらの臨床試験の結果から、自閉症の当事者が「デシモーネ配合」を摂取することは、自閉症の中核症状を改善させる可能性が示唆されます。

日本では他国に比べて、自閉症の当事者の数が多いことが知られています。

「デシモーネ配合」の自閉症に対する効果の認知が広まり、多くの当事者とご家族の助けとなることを願っています。

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より詳しくお知りになりたい方や、どのようなサプリメントがあるか気になる方は、「デシモーネ配合」で検索する等、ご自分でさらにお調べいただくのもよいのではないでしょうか。

医学工房合同会社

参考文献

  1. Emanuele E, Orsi P, Boso M, Broglia D, Brondino N, Barale F, di Nemi SU, Politi P. Low-grade endotoxemia in patients with severe autism. Neurosci Lett. 2010 Mar 8;471(3):162-5.
  2. Fiorentino M, Sapone A, Senger S, Camhi SS, Kadzielski SM, Buie TM, Kelly DL, Cascella N, Fasano A. Blood-brain barrier and intestinal epithelial barrier alterations in autism spectrum disorders. Mol Autism. 2016 Nov 29;7:49.
  3. Santocchi et al Effects of Probiotic Supplementation on Gastrointestinal, Sensory and Core Symptoms in Autism Spectrum Disorders: A Randomized Controlled Trial Front. Psychiatry 2020 doi: 10.3389/fpsyt.2020.550593
  4. Arnold LE et al. Probiotics for Gastrointestinal Symptoms and Quality of Life in Autism: a Placebo-Controlled Pilot Trial Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology. Nov 2019.659-669. http://doi.org/10.1089/cap.2018.0156
  5. VIVO-ASD, December 2017 United Kingdom https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03369431